院長コラム

第5回:(1)東北について

前回書いたとおり、東北に行く場合(東北に限らずどこにいく場合もそうでしょうが)、予習と復習をすることによってその土地のことがいつまでも印象深く胸に残ると思います。しかも、北海道とちがって実に長い歴史があり、今自分の立っている場所ではるか昔にこんなことがあった、と感じるだけでもワクワクするものです。

田沢湖で、武内先生おすすめの田沢湖芸術村というところにいき、劇団“わらび座”のミュージカル“アテルイ”を観ました。桓武天皇の時代、まつろわぬ民としての蝦夷(えみし)のリーダーであるアテルイが主人公で、坂上田村麻呂とのやりとりや、踊りや歌、なによりこれまでこういう風に生で日本のミュージカルを観たこともなく、また田沢湖畔という思いがけない場所で経験したこともあって、非常に印象に残りました。それで、蝦夷について読んだ本は、小説では、東北出身の高橋克彦著“炎立つ”“「火怨」(北の燿星)アテルイ”、澤田ふじ子著“陸奥甲冑記”これも東北出身の熊谷達也著“荒蝦夷”、小説以外では、中公新書の高橋崇著、蝦夷三部作で“蝦夷”“蝦夷の末裔”“奥州藤原氏”などです。古代の東北を舞台に、大和朝廷に対して蝦夷が徹底抗戦するというスケールの大きな話です。蝦夷の末裔が奥州藤原氏であり、蝦夷というのは北海道のアイヌ民族ではなく東北に居住する日本人である、とする説の根拠になったのが中尊寺金色堂の藤原三代のミイラの骨格の調査結果によっている、という風に東北の歴史がどんどん展開していきます。

山形も、鶴岡に2回行きまして、鶴岡の近くの藤沢周平が滞在していたという温泉にも一泊しました。それにちなんで、新撰組の立ち上げなどで有名な清河八郎が主人公の“回天の門”、“ふるさとへ廻る六部は”で復習。酒田と注連寺や大日坊でみた即身仏もかなり衝撃的で、その注連寺が舞台のモデルになった森敦著“月山”、羽黒三山や修験道のことも含めて、町田宗鳳著“山の霊力”、土方正志著“日本のミイラ仏をたずねて”などなど、熊谷達也著“迎え火の山”、高橋克彦著“即身仏の殺人”、山村正夫著“湯殿山麓 呪い村”などの推理小説みたいのまで読みました。

津軽は去年行きましたが、津軽三味線を生で初めて聴いてこれも感動しましたし、吉幾三の故郷の五所川原のあたりをレンタカーで運転して、あまりにも対向車もいないし、信号機もほとんどなくて、彼の初期の歌の歌詞に近い印象でした。ここは、太宰治の“津軽”で予習しました。

秋田のマタギに関しては、最近では熊谷達也著“邂逅の森”が良かった。

もちろん、芭蕉の“奥の細道”と、それについての数多くの解説書やガイドブックも予習・復習に大いに役立ちました。

そのような予習・復習と現地での臨場感から、口では言い表せなくて北海道にはない東北の宗教観や死生観のようなものを感じました。僕自身の父方の祖父が山形出身だったのも東北を身近に感じさせているのかもしれません。

(2)近況

2月から3月にかけてインフルエンザの大流行となって、当院も一時大変な混雑となりましたが、3月後半からその反動のように落ち着いた日々となっています。4月1日で開院からちょうど半年が経過し、無我夢中でやってきましたが、これからが長丁場だと自分に言い聞かせながら気持ちを新たにしています。

今月から経鼻内視鏡(胃カメラを鼻の穴から挿入する)を始めました。口からと違って、ほとんどオエーッとならないようです。最初は、検査する側としては普段見慣れない鼻腔という場所なので、かなり緊張しましたが、もう大丈夫です。胃カメラなんて2度と受けたくないと思っている方こそどうぞ一度試してみてください。

このページのトップへ戻る休憩室のもくじへ戻る